家路の車窓
2002/03月号
2002/03/11月曜日
「点数」
僕の好きな相田みつをの書に「人間が先,点数はあと」という意味の言葉がある(すみません,正確な表現は忘れてしまいました).はじめてみたとき,「その通り」と思った.が,今は「全く,全くその通りだ!!」と強く思っている.この時期は,教官は学生に対して評価をしなければならない.この評価をすることが非常に難しいのである.現在の最大の悩みである.答案を見て学生の顔を思い浮かべてはいけない.目の前にある学生からの答案のみを読み,この答案に対して点数をつけるという気持ちで行わないと,公平性を欠くように思うのである.
学生にお話したいことがある.点数が悪かったからといって,その教科が不得意だと思わないで欲しい.電車の中で高校生が,「私,数学苦手なんだよねぇ.だから文科系・・・」というような発言を良く聞く.このようなことを聞くと「点数が悪いから苦手と思わないで欲しい」と心の中で思うのである.もしかしたら,この子たちは,自分が苦手と思っている分野において,ものすごい才能があって,将来大活躍できる才能があるかもしれない.もしかしたら,自分が評価をすることで,その才能を潰すことにならないだろうか?しかし,“現時点”では良い評価は与えることはできないということがあるように思う.ある時点で点数をつけなければならないというのは,非常に難しいのである.次のように考えてくれると私としては気が楽になる.「現時点での評価は良くなかった.くっそ〜,次は頑張ってやるぞ!!」
点数は人格に対してつけているのではなく,現時点でのその人の理解度に対してつけているのである.点が悪いからといって,それが自分に向いていないとか,苦手だという気持ちは持たないで欲しい.ポジティブに前向きに受けとめて欲しい.
2002/03/11月曜日
「嬉しい気持ち」
少し飲んでいます.何ともいえない心地よい気分です.卒業論文の発表会が終わって,とにかく嬉しい気持ちです.この車窓を書かずにはいられない気分です.自分たちと一緒に勉強し,ときには厳しい発言をしたかもしれませんが,私たちと共に勉強してきた学生たちが,他の皆さんから高く評価していただいたことが,とにかく嬉しいのです.自分自身,学会や前職での経営者からそれなりの評価を得てきて,それはそれで嬉しいと思いましたが,これほどまでではなかったような気がします.自分と一緒に向上してきた学生たちが他の方々から評価されたことが,これほどまでに嬉しいものだとは夢にも思いませんでした.理由は良く分かりません.自分が誉められたのではなく,自分と関係した人が誉められて,これほどまでに何故嬉しいのか?
自分の子供がかわいいと言われると「そうでしょう,僕もそう思うんですよ」と口には出さないが,非常に嬉しく思うのと似ているように思います.一種の共感なのでしょうか?共に喜べるということからくるのでしょうか?自分が誉められたとき,他の人と共に心から喜び合えるというのはなかなかありません.一人,自分の部屋でニンマリするぐらいしか出来ないでしょう.でも,今回は「みんなで喜び合える」という喜びを感じました.人との係わり合いの妙なのかもしれません.
個人プレーではなくチームプレーの楽しさを実感したように思います.