家路の車窓

2002/08月号

2002/08/02金曜日

 

「はじめてのレコード」

この前,昔のレコードの値段について触れたので,それについて書きます.小学生のとき,小遣い全額(500円です!!)はたいてはじめてドーナツ盤を買ったとき,アリスの「今はもう誰も」を買うか,ベイシティーローラーズの「ひとりぼっちの十代」を買うか迷いに迷って後者を購入しました.それからは,少しずつですが,月の小遣いのあまりを貯金し500円に到達するとレコード屋さんに走りました.はじめて買ったレコードが,なぜか,洋楽だったため,それ以降,ビートルズ,カーペンターズ,ビージーズなどなどをよく聴きました.中学生になるとテレビの番組「銀座NOW」で,今で言うとカウントダウンTVのような,当時売れている楽曲の順位付けのコーナーがありました.今思うと当時の楽曲の上位はほとんど洋楽だったように思います.僕が中学生,高校生の時代は,フォークソングの他は,山口百恵や桜田淳子など今で言えばアイドル歌手がほとんどで,“楽曲の良さ”よりも“歌手の良さ(顔か?)”が優先されていて,楽曲の良さで順位付けされるとほとんどが洋楽になってしまったのかもしれません.現在は歌い手の顔よりも楽曲の良さで売れていると言う点では,20年,30年も前の人よりも,正統な判断をする人が増えているのかもしれません.最も楽曲も顔も良いという人が増えているのも事実だと思いますが,僕の好きな宇多田ヒカル(どちらかというと楽曲が勝ってる?)や浜崎あゆみ(どちらかというと顔が好み?)のように.

その後,僕が大学生の頃は,「USA20(だったかなぁ)」という小林克也がディスクジョッキーの洋楽Top20を毎週紹介する番組(確か土曜日22:45のテレビ朝日)を観ていた.MTVで流れているプロモーションビデオをはじめて流した番組で,マイケル・ジャクソンのスリラーなどを放映して,今の楽曲番組の骨格を作った番組だと思う.この番組から,海の向こうには凄い才能を持ったアーティストがいるもんだと衝撃を受けたのである.この頃は,カルチャークラブ,シーナ・イーストンなど英国出身のアーティストにはまっていたと記憶している.

はじめて買ったレコードから30年近く時間を経て今はCDを購入するのであるが,音楽を“買う”と言う行為は止めないものである.最近買ったCDは,大好きな宇多田ヒカルの「Deep River」である.

 

2002/08/02金曜日

 

「はまったアーティスト」

僕は「親父鎮魂」でも書いたように,地味なもの,マイナーなものが大好きです.流行とは一線を隔すものが大好きです.それを「オリジナリティ」と呼び,自分の中で流行にしていくのです.このような観点から,僕が今までに愛し,今でも愛している2組のアーティストについて書きたいと思います.

まず1組目は,「バービーボーイズ」というバンドです.「コンタ」という男性ボーカルと「杏子」という女性ボーカルのダブルボーカルでした.1983年にデビューし1992年に解散しました.杏子は,現在,スガシカオが参加している「福耳」のボーカルで,ご存知の方もいるかもしれません.コンタは,ロックバンドなのに,テナーサックスを吹いていた変り種でした.このバンドは,2人の男女の会話(時には,心の会話)そのものを詞にし,男女のボーカルが1節ずつ交互に歌うという,他には無い歌い方をするバンドでした.彼らの楽曲であり,僕が最も愛している曲があります.「チャンス到来」という曲です.恋愛を通じて大人になるチャンスに直面した男の子と女の子の心の会話を曲にしたものです.ドキドキしたり,切なくなったり,という気持ちが伝わってきます.このような気持ちにさせてくれる楽曲は,その後,僕の前には現われませんね.

さて2組目は,ご存知の方も多いと思いますがNOKKOがボーカルをしていた「レベッカ」です.1984年デビューし1990年に活動休止.2000年に活動を再開したのかな.彼らの最大のヒット「フレンズ」は聴いたことのある方は多いでしょう.なんだ結構メジャーも好きなんじゃないか,と言われるかもしれませんが,僕は彼らのデビュー当時の楽曲が好きなのです.「Love is cash」が最高だと思っています.皆さん,知らないでしょ,この曲.レベッカは「フレンズ」のヒット後,多くの人に親しまれる楽曲を創り,アーティストとしての王道を進みました.ここには,様々の葛藤があったと思います.売れる楽曲を創ることは,バンドとしての個性を没することにもつながると思います.「フレンズ」のヒット後,メンバー間での意見の相違がみられはじめ,また新しく出される楽曲がなんとなく「フレンズ」のイメージになってしまう.このようになってから僕はレベッカから離れていきました.「個性」,「オリジナリティ」を失ってしまったレベッカには関心がなくなり,その「良さ」を失ってしまった.そしてバンドは解散しました.難しいものですね.バンドとしてのアイデンティティと大衆に受ける楽曲創りは,相反するものなのでしょうか?個性を没して誰にでも受け入れやすいものを求めるべきなのでしょうか?オリジナリティを求めてマニアックな小数の人にしか知られない状況に陥るのが良いのか?これは人生の生き方そのもののようですね.ただ最近のアーティストには,売れっ子プロデューサーの下で個性を没して誰にでも受け入れられようとする人が多いような気がします.基本的にオリジナリティを大切にしたい僕としては少し寂しく思います.

メニューへ戻る