家路の車窓
2002/12月号
2002/12/18水曜日
「大地踊り」
今年の運動会は息子にとって思い出になることと思います.運動会では,クラス対抗リレーで優勝し,幼稚園最後の年長児の遊戯である「大地踊り」を勇ましく踊り披露できたからです.「大地踊り」は息子の通っている幼稚園のオリジナル遊戯で,裸足・上半身裸でタスキ掛けに豆絞りを頭に巻きバチを持って,大太鼓の音頭に合わせて園庭を「ヤァー!!」という掛け声と共に走って登場し,勇ましく踊るというものです.大人の僕でさえ,子供たちが「ヤァー」と掛け声をあげて登場してくるところは「カッコイイ」と思います.この幼稚園に通う子供たちにとって,「大地踊り」を踊ることはなによりも「カッコイイ」ことなのです.年少・年中児も,年長になり「大地踊り」を踊ることに何よりも憧れているのです.我が息子の場合も,年少の頃から,既に振りを覚えていました.いよいよ観客の前で「大地踊り」を披露しようという時の息子の笑顔.「やってやるぞ」という表情.大人の私たちも忘れてはいけませんね,この表情と気持ち.このとき,おそらく息子の中では「失敗」という言葉はなくなっていたのではないかと思います.
実は,もう一つ競技がありました.個人種目の「障害物競走」で,年長児のプログラム最初の競技でした.息子が出場した種目を順に挙げると「障害物競走」,「クラス対抗リレー」,「大地踊り」です.「大地踊り」は全種目中最後の種目です.息子は一番最初の種目「障害物競走」で緊張のためか,スタート直前に泣き出していたのです.結果は,あえなく5位.このとき,息子の心の中には「失敗したら・・・」という気持ちがあったのではないでしょうか.
「障害物競走」と「クラス対抗リレー」の間に,クラス対抗の父母による綱引きがありました.僕を知っている人は良く分かると思いますが,僕はこういうのに出場するのが大好きです.ということで,家族が「無理するな」というのを無視して出場しました.結果は優勝でした.息子とも「やったぞ」とハイタッチ.これを契機に息子はクラス対抗リレーにも元気よく出場し,大地踊りをかっこよく踊ったのでした.
なんか息子の自慢話みたいになっちゃったので最後に他のお子さんのことについて.クラス対抗リレーで,最後の走者になったお子さんを観て感動しましたね.どんなに遅れても,彼女は一生懸命に走っていました.必死の表情をしていました.みなさん,この気持ち忘れてませんか?どんな状況でも,自分なりの全力を尽くす.それから先頭を走っているお子さんも,やっぱり必死に走っているんですね.決して手を抜くことなく.この気持ちを忘れちゃいけませんね.自分は人より先に行っているから・・・という気持ちは無いようです.彼らの方が優れているかもしれませんよ,不景気に嘆いている大人よりも.「大地踊り」の精神で行きましょう.
2002/12/18水曜日
「講義と講演」
もう,2年目を振り返ることになりました.この一年は,どんな年だったか?教官として2年目を迎えて,講義についていろいろ考える余裕が出てきました.大学教官になる前にも,学会や企業のセミナーなどで講師をさせていただいたので,同じように行えばよいのだろうと思っていました.しかし,実際にやってみると大きく違うことに気づかされました.例えて言うと,1回だけの講演は「映画製作」,15回の講義は「連続テレビドラマ」という感じです.
最近,テレビドラマの監督が映画製作を手がけることが多くなりましたね.「踊る大捜査線―The movie―」などです.かなりイマイチな映画であることが多いと思うのですが,やはり「映画」と「テレビドラマ」の違いにあると思います.そういえば,映画からテレビの世界に移る人は少ないですね.
15回の講義では,毎回,伝えたい事項を一つに決め,それを浮き立たせるための情報を集め組み立てるという準備をします.それを15回分作り,受講し終わった後に,全体として,そのドラマである講義科目に関して一定の考えを持つようになってもらいたいと思っております.一方,講演は一話完結であるので,大きな盛り上がりを一点に集中して,聞き終わった後に「面白かったね」という感想を持てるように努力するという感じです.
どうです?連続テレビドラマと映画との関係に似ているでしょう.僕の場合,映画制作から連続テレビドラマ製作の世界に入ってきたようなものです.連続テレビドラマともいうべき15回の講義は,一話一話の間に一週間のブランクがあるので,毎回の講義の冒頭で気持ちを高めてもらわないと盛り上がっていけません.これが難しい!!来年に向けての目標は,高視聴率を取れる連続テレビドラマのような講義にしていきたい,というところでしょうか?