家路の車窓
2005/04月号
2005/04/01金曜日
「新しいことに挑戦する気持ち」
今年,新しい研究に取り組み始めます.防災の研究です.いつの頃からか,土・地盤の環境問題の研究を中心にしてきました.どこにターニングポイントがあったのだろうかと考えてみました.以前は,地盤改良の研究をしていて,地震やトンネル掘削に耐えるために,いかに土を強く出来るかという研究に没頭していました.実際,これが僕の博士学位論文の内容になっています.でも,いつの頃からか,このような研究ではなく,環境問題を強く進めてきました.昔は,防災と環境の両方をやっていました.もちろん,研究費のつき方によって,その力の入れ具合は変わってきます.でも,それ以外にも理由があったのではないかと思います.
それは,1995年1月に生じた兵庫県南部地震ではないかと思います.あの地震は,それなりに僕の心のどこかに,「自然には所詮勝てない」とか「神様には勝てる訳がない」という気持ちを植えつけました.あの光景は忘れられません.あんなにも簡単に建物が壊れてしまうなんて・・・.この地震後調査に何回か行きました.そのたびに変形しているビルを見ると,自然の力は凄いと思わないでいられませんでした.自然の力は恐ろしい・・・もうトラウマになってしまいました.この時期を契機に,防災に関する研究からは,遠ざかっていきました.
しかし,昨年2004年には多くの自然災害がありました.2005年になっても福岡西方沖地震が発生しました.「自然の力には勝てない」という言葉を,つい大学の研究室で漏らしてしまいました.所属する学生の中には,なんとかして,この自然からの脅威に挑もうとする防災の研究に取り組んでいる学生がいます.自分のトラウマから言ってしまった「自然の力には勝てない」という言葉は,まずかったですね.
そして,この自分のトラウマから解放されるため,2005年4月から防災の研究を開始します.
2005/04/01金曜日
「組織に対する認識の変化」
先日,山崎豊子の「不毛地帯」を読み終わりました.以前読んだ同じ著者の「沈まぬ太陽」の時にも,組織と個人を考えさせられましたが,今回読んだ「不毛地帯」では,また違った認識を持ち始めています.「沈まぬ太陽」では,組織に立ち向かう個人を描いていましたが,「不毛地帯」では,組織を動かす個人に焦点を当てています.以前にもお話ししてきていますが,僕はかなりの個人主義者で,組織に属していても,その将来とかあまり関心がありません.悪く言えば,自分の人生のみを重視した考えを持ってきました.他人がどうあれ,特段の関心を持つことは少なかったように思います.
しかし,最近,多くの人々を啓蒙し,同じ思想の下で多くの人々とともに行動し,結果として組織を動かすことに魅力を感じるようになってきました.これも年齢のせいなのでしょうか.しかし,組織的な行動の方が,多くの場合,威力を発揮するのも事実です.僕の嫌いな官僚システムを打開するのも,個人で立ち向かえば「沈まぬ太陽」のように敗北する結末になるのでしょう.
ところで,こんなことを考え始めた僕は,いったいどのような人生を選択することになるのでしょうか.政治家というものにも魅力を感じ始めているのも事実です.我ながら恐ろしいと思います.なぜなら,高校生のときには,もっともなりたくない(いや,なれませんでしたけどね)職業でしたから.人というのは,年とともに考えることが大きく変化するものですね.僕の場合は,特に激しいのかもしれませんが・・・.