家路の車窓
2005/05月号
2005/05/06金曜日
「選択を後悔しないこと」
2005年度の就職担当をしています.学生の皆さんとお話していて,自分の進路を漠然と考えるのではなく,具体的な会社名などが出てきて,内定をもらったが,その会社に決めようかどうか,迷うことが多いようですね.当然です.長い人生の中で,いくつか自分で決断をしなければならない場面に数多く出会います.どちらの道を選択するべきか,考え込んでしまうことも多いと思います.
自分の場合も,大学教員に転出するか,前職の研究所に残るか,悩みました.決断を迫られたのはクリスマスのシーズンでした.大学から内定(のようなもの)の連絡をいただいて,在籍していた研究所に退職の意思を上司に伝える必要がありました.本来であれば,内定をもらうということは,自分を必要としてくれるのですから嬉しいはずのことなのですが,“嬉しい”という気持ちはまったく生まれてきませんでした.むしろ“大変なことになった”という感じでした.自分で蒔いた種なのですが.今でも忘れられませんが,僕の人生においてもっともブルーなクリスマスを過ごしましたね,このときは.
大学教員に転出した後,仕事を通じての知り合いや友人から,「どう,大学にいって良かったですか?」と聞かれることが多いですね.今でもときどき聞かれます,もう4年も経っているのに.僕は「良かったです!」とはっきり答えています.すると「では,研究所より大学の方が良いですか?」と続けて聞いてくる人がいます.これに対しては「それは比べられませんね.どちらの道を選んでも,きっと僕は『良かったです!』と答えると思いますよ」と返します.
いや本当に,そう思うのです.どちらの道を選んでも,結局のところ,選んだ道で頑張りさえすれば後悔するようなことはないと思います.
一番良くないのは「あの時,あちらの道を選んでいたらなぁ」と思うことだと思います.きっと“あちらの道”を選んだ場合でも「あの時,こちらの道を選んでいたらなぁ」と思うのではないでしょうか.「ある時点での選択を後悔することなく,選んだ道で頑張ること.」これが楽しく生きる秘訣ではないでしょうか.
2005/05/06金曜日
「仲間意識」
新しく4年生が研究室にやって参りました.まだ,慣れないと思いますが,はやく先輩や教員である私たちと仲良くなりましょうね.はやく仲良くなってもらいたいので,僕はこの時期4年生とよく話すようにしています.また,「一緒に昼飯を食べに行こう!」とか「飲みにいこうぜ!」ということも多くなります.早く仲良くなるために,仲間意識を持ってもらうためにです.
ところで,今回の4年生は,実は僕が学年担任をしている学年なので,○○研究室というくくりではなく,“僕の担任の学年”という仲間意識が既に教員である僕の意識の中にあります(教員の僕だけかもしれませんが).10代の1年生の頃に,北は北海道,南は沖縄,中国からの留学生もいるわけですから,1年生のガイダンスではじめて出会った頃は,まさに“烏合の衆”という感じでした.いったい隣の子は,どこからやってきたのだろうか,という感じでしょうか.学年担任としては,4年後は全員そろって卒業させたいという気持ちもありましたので,「とにかく毎日学校に通学してもらわなければ」と思いました.大学では,ほとんど個々人で講義を選択し,それに応じた教室に向かうシステムになっていますから,同じ学年でも毎日顔を合わさないことがあります(特に,1年生の頃は).大学はもちろん学問を修めにいくところですが,やはり切磋琢磨できる友達,仲間がいなければ楽しくなくなり,自然と学校から遠ざかってしまいます.ですから,とにかく僕が担任の,この学年の皆に仲間意識を持ってもらいたいと思って,1年生ガイダンスの最後に「今日からみんなは○○組の仲間だからな」と言って締めくくりました(○○には,僕の苗字が入ります).あれから3年が過ぎ4年目に入った現在,少なくとも担任の僕には,僕の担任の学年という仲間意識を持つようになりました(僕だけかもしれませんがね).学年全員の顔と名前はもちろん,性格なども理解しているつもりです.
このような僕の担任の学年ですから,卒論のため研究室配属は,担任の僕にとっては里親に子供を預ける気持ちのような感じです(もちろん,そんな経験はしたことありませんが).みんな,それぞれの新しい環境で早く新しい仲間を作ってもらいたいと思います.でも担任の僕のところにも,たまには遊びに来てほしいなぁ.