家路の車窓
2006/04月号
2006/04/11火曜日
「子離れ,学生離れ」
少子化傾向に伴って“子離れできない親”がたくさんいるというお話を良く耳にします.教員という職業柄,このような親が本当にいるのかな,と思う一方,自分自身が親であり,自分自身がそうなっていないかどうか,気になってしまいます.正直に言って,小学校4年生の息子と年長組の娘がいつまでもこのままかわいいままでいて欲しいと思います.これって,既に子離れできそうもない親の部類に入っているのではないかと思ってしまいます.
これが教員という職業では,もう一つ同じような傾向を感じるときがあります.“学生離れできない教員”というケースもあるのではないかと思います.少なくとも一緒に過ごしてきたわけですし,もう少し一緒に研究をして,その成長を間近で見てみたいと思うのは教員のエゴなのでしょう.でも,自分と係ったことから,その学生さんが見事に成長する状況を間近で見られるというのは教員という職業だけだと思いますし,親が子の成長を楽しみにしているのと同じ心境だと思います.しかし自分の身近にいては,本当の成長はないのかもしれません.
しかし,ここは一つ自分の希望を抑え,子や学生を突き放さなければならないのでしょう.遠くのどこかに行っても,風の便りで,わが子や学生が頑張っているというのを聞くと,親や教員は安心すると共に,嬉しく思うものなのだと思います.
2006/04/11火曜日
「人の名前の覚え方」
大学の教員になって「これは是非励行しよう」と思っていたことは,学生の皆さんの顔と名前を覚えることです.僕が担任をしていた学年の場合は,全員の顔と名前(といっても苗字で精一杯ですが)を覚えました.人数は69名ですから,結構大変でしたよ.なぜ,学生の皆さんの顔と名前を覚えようと思ったかと言うと,僕が大学生だった頃,大学の先生は,学生の名前を呼んでもくれないし,覚えてくれないもののように感じました.これが,学生だった自分にとって,何ともいえない疎外感を感じたからです.とはいえ,実際,自分が教員の立場になると,学生一人一人の顔と名前を一致させることはきわめて難しいことに気づきました.全学年で考えれば300人強が学科に所属しているのですから.
特に僕の場合,関心が無いものには,全く無関心と言う性格ですから,前職場の研究所では,必要以上に人の名前を覚えることは不要でしたから,僕は人の名前を覚えるのを不得手としていました.それを知っていた僕の奥さんからは,「学生の名前を全部覚えるなんて,あなたにはできっこない」と言われてしまう始末です.そのような人間が教員になったのですから,大変なことです.そこで,とにかく,学生の皆さんの顔と名前を覚える努力をしてきました.そこで気づいたことがあります.
人の顔と名前を一致させるように記憶する際には,単に顔と名前を覚えるのではなく,その関連情報も合わせると覚えやすいということに気付きました.例えば,出身地,出身高校,部活動であったり,ジャイアンツのファンかアンチ巨人か,などの情報も合わせると,その人の顔と名前を一致させることが比較的容易になります.何か不思議ですが,どうも,いろいろな情報を併せ持って記憶されているようです.「いや〜,僕は名前を覚えるの苦手だからなぁ」と言う方,是非,その人の出身県や趣味などを聞き出してみてください.不思議とそのような情報を介して,その人の顔と名前を一致させることが比較的簡単になると思います.