家路の車窓
2006/07月号
2006/07/06木曜日
「International Conference」
つい先日,イギリス・カーディフで行われた国際会議に出席してきました.毎回,国際会議に出席すると,いろいろな新しい視点,研究という視点だけではないことに気付いて帰ってきます.今回の国際会議は,その中でもいろいろ得るものがあったように思います.
今回の国際会議では,研究指導している学生も出席してはじめてのpresentation in Englishでした.とにかくはじめてのことなので緊張しているようでした.日本で開催される会議では,何度も口頭発表の経験のある人ですが,まぁ,当然ですよね.何度もホテルの部屋で練習をしているようでした.僕の指導方針は,「日本語でも英語でも原稿を持って発表の場に立ってはいけない」というものです.これは自分自身の苦い経験からです.恰好良く見せたい僕は,大学院1年生のときのはじめての日本語での発表のときも,研究所勤務2年目のはじめての英語での発表のときも,原稿を丸暗記して発表しました.そして,それぞれ反省点を持ちつつ,それでも人前で自分の研究成果を発表できたことに大きな充実感を感じました.しかし,英語での発表にもそろそろ慣れた頃,カナダでの国際会議に妻を連れて出席しました.そのときは英語での発表にもそれなりの自信を持ちはじめていたときでした.加えて妻と一緒に現地をいろいろ廻っていて,発表の準備が少し足りないかなとも思っていたので,一応,原稿を手にして発表の場に立ってしまいました.もちろんそれなりの発表技術に自信があったので,原稿を読むなんてことはしないつもりでしたが,原稿を手に持っているということから,それに頼ろうとする気持ちが出てしまい,うまく発表ができませんでした.聴講していた妻も「なんかあんまり上手くなかったね」なんて言っていました.自分自身も今までの発表の中でももっとも後悔している発表となってしまいました.それ以来,どんなことがあっても原稿を持って発表には臨まないし,自分の教育指導方針にもしています.「ラブレターを読んでも愛は伝わらない.相手の目を見て“好きだ”と一言,口にした方が気持ちが伝わる」と言って,原稿を持って発表することの無意味さを伝えています.
しかし,最近の学生さんはとても発表が上手で,一緒に行った学生はもちろん,私の出身大学から参加している学生さんは4年生でありながら,先輩の発表を原稿を持たずに恰好良く発表していました.こういう有能な若い学生さんが着実に育っていることを知ることができて,今回の国際会議はとても有意義なものとなりました.
2006/07/06木曜日
「NOKKO」
最近,安室奈美恵がカバーした「人魚」という楽曲がありますが,あれな実は元レベッカというグループの女性ボーカルのNOKKOという人のオリジナル曲です.レベッカが解散し,しばらく休養してから,NOKKOがソロで世に出した楽曲です.以前にもレベッカについて書いたことがありますが,この家路の車窓ではそのNOKKOの思い出について書きます.
知らない年代の人もいると思うので・・・NOKKOは“ノッコ”と読みます.本名は知りません.もう20年も前になるのでしょうが,レベッカというグループがありました.そのボーカルであるNOKKOは,それはそれは華奢な人なのですが,コンサートなどでは酸欠状態になって倒れこんでしまうほど,全力で歌う人でした.なんかとても危うい人のように感じましたが,それがまた,なんともいえない魅力でもありました.また,衣装といいダンスといい,とてもオリジナリティのあるアーティストでしたね.
実は僕は20年ぐらい前,このNOKKOと偶然会っているのです.あれは僕が大学院1年生の頃だったと思います.高校の同窓会が新宿でありました.久しぶりに会った友人たちと大盛り上がりで,結局,みんな終電に間に合わず,新宿で一夜をあかすことになりました.8名程度でしたかね.女性も2名程度いたのですが,僕が彼女たちの親に電話をすれば安心するからということで,電話したりもしました.僕の母親がPTAで活躍して,同級生の親たちからは,その母親の恩恵で,僕自身も信頼されていたようです.ということで,終電後の新宿で,どのように過ごすかということになりました.まずは結構飲んでいたしお腹もいっぱいなので運動しようということになり,ボーリングに行きました.当時の新宿では,夜通しボーリング場は営業されていました.2レーンを借りて1ゲームが終わった頃でしょうか,入り口付近が少し騒がしいなと思っていたところ,突然となりのレーンに,当時「フレンズ」という曲が大ヒットしていたレベッカが来るではありませんか.コンサートのまんまの衣装でNOKKOが隣のレーンへ.酔っ払っていたせいか,すぐにはその現実が飲み込めない状態でしたが,場内のお客さんは騒いでいました.おそらくスタッフの人だと思いますが,その騒いでいる人達に対して,「プライベートだから,そっとしておいて」とお願いし,少しすると騒ぎはおさまりました.でも僕たちのレーンの横では,大人気のNOKKOとレベッカのメンバーがコンサートのノリのまんまでボーリングしているんですよね.僕は,ちょっとした合間に隣り合わせになっている待機用のイスに座っていたNOKKOに話しかけました.「僕,レベッカIV(“フレンズ”が収録されているLP)を買いました.すごく良かったです.」と言ったら,NOKKOはあの高い声で「ほんとに〜.うれしい.」というようなことを言って,握手をしてくれました.レベッカがボーリングを終えて(おそらく1ゲームだけでしたね)帰った後に,僕たちもボーリングを終えて,その興奮を引きずりながら,また飲みに行きました.そのときに乗ったエレベータでは酔っ払った佐藤B作(劇団俳優で,当時,欽ちゃんにいじられて良くテレビに出ていた人です)と一緒になって「いや〜,今宵は楽しい夜ですねぇ,エヘヘ」なんて話しかけられちゃって,「なんで今日はこんなに芸能人と会うんだぁ?」なんて飲みながら友人たちと語りました.最後にはみんなで,深夜上映の映画館で「コーラスライン」を観に行ったのですが,始まったと思ったら,すぐにみんな眠ってしまい,気づいたらエンドロールが流れているという顛末でした(未だに,この映画を本当の意味で観ていません).NOKKOを思い出すと,こんな僕の青春時代が思い起こされます.