家路の車窓

2006/11月号

2006/11/6月曜日

 

「河川オタク」

今年の9月にベトナムのハノイとフエに行ってきたことはお話ししましたね.そのときには,最近はまっている河川見物(いえいえ,視察)も行ってきました.以前もお話しましたが,僕の亡き父は地理学における河川の研究者でした.僕が子供の頃に,よく川の話しをしていたことを憶えているし,今風に言えば,“河川オタク”だったのでしょう.僕も最近,大型の研究プロジェクトの関係から河川堤防の研究を開始し,それに伴い父から受け継いだ遺伝子が活動をはじめて,すっかり“河川オタク”っぽくなってきたものですから,ベトナムに行ったら,日本とは違う河川が見られると喜んで行きました.

父が「一度は,チャオプラヤ川(タイに流れている河川です)を見なければいけない.お前は小学校の社会(地理)でメナム川って習っているだろうけれど,それは間違いだ.本当はチャオプラヤ川と言うんだぞ.メナム(menam)は現地では河川の意味で,誰かがそれを河川の名前と思ったらしい.日本の地理教育は全くけしからん!とにかく凄いから一度見るといい,日本の河川とは全く違うから.メコン川(カンボジアとベトナムに流れている河川です)もすごいぞ.メコンデルタって言うのがあってな・・・・」と,小学生である僕に興奮して話していたのを憶えています.ベトナムに行って,国の機関の方々から見せられる地図を見ていると,ベトナムという国は,河川の中洲がそのままデカクなっていって国になったような感じですね.

話しは変わりますが,うちの息子が野球の練習をしているのも小貝川の河川敷です.最近は,その練習につきあいコーチのお手伝いをしています.練習の合間の休憩時間には,川べりまで行ったり,堤防をちょっとほじくってどんな土でできているのか見たり,とウロウロしています.川を見ていると気付くことがあります.ベトナムでも日本でも,川のどこかで,何かしている人が必ず居ます.日本では釣りがはやっているのでしょうが,小貝川をウロウロすると,本当にたくさんの釣り人が居ることに気付きます.ベトナム・フエの川では,水上生活者がたくさん生活しています.本来,川は人間の生活にとって,食住を提供するものだったのかもしれません.

僕が大学生活を過ごした頃は,近くに都市河川の代表である神田川がありました.その頃は既に,神田川は普段,ちょろちょろと水が流れているような状況でした.でも大雨が降ると,もの凄い増水をする川でした.自分の生活を豊かにしてくれるようなものとは思っていませんでした.これから,もっと川の本来の姿というものを考えてみたいと思います.もうすっかり「河川オタク」になってしまったかもしれません.

 

2006/11/6月曜日

X-MENの好きな理由」

X-MEN:ファイナルディシジョンが,つい先日までロードショーされていましたね.DVD化されるのが待ち遠しいです.実は,X-MEN, X-MEN2DVDを買って鑑賞するぐらい,X-MENが大好きです.アメリカの原作の漫画も何度か読んだことがあります.X-MENには,たくさんのミュータントが登場し,人間社会と如何に共存するかがテーマになっています.僕が子供の頃に放映していた「妖怪人間ベム」も同じようなテーマだったかもしれません.

X-MENでは,アメリカ社会をはじめとして現代社会に根深く存在する人種差別や病気などによる迫害をテーマにしていると思います.特殊能力を持つが故に恐れられ,人間社会から迫害を受けるミュータントたちは多種多様な考え方を持って登場します.差別や迫害を緩和させつつ人間と共存しようとする者,諦めの気持ちを持ちつつ,いつかは共存できるのではないかという気持ちで生きる者,自分たちの特殊能力を理解しようとしない人間社会を滅ぼそうとする者など,登場するミュータントごとにそれぞれ考え方が異なっているのです.ここにこの映画シリーズの好きな理由があります.多くのこのようなテーマの映画では考え方を二極化して,善と悪の戦いのようにしてしまうのですが,このX-MENシリーズは違うように思います.ある場面で人間を助けようとするミュータントは,心の底からその人間を救わなければ,と思っていないようなのに,手助けをするようなシーンがあります.人間の方も助けてもらったミュータントに心を許さず,救ってくれたミュータントにも恐れ,嫌ったりする場面があります.自分自身が持っている強大な特殊能力を忌み嫌い悩むミュータントもいます.実際の差別や迫害は,確かにこのようなものだと思います.本当に考えさせられてしまいます.

また登場するミュータントたちは,ほとんどの場合,自分の特殊能力をうまく使いこなせていない点も,この映画の持ち味だと思います.眼から常に凄まじいエネルギー光線を出し続け,特殊なサングラスをかけて光線を遮断しなければ愛する人も見ることができないスコットは,一体どうやって,生まれてきたのでしょう.眼が開いた瞬間に,産婦人科病院は吹き飛んでしまったのではないかな.アダマンチウムというもの凄く硬いと言われる金属(もちろん,映画の中でのお話!)でできた刃が両手の各指の根元の間から出てきて敵をバタバタと倒す主人公ウルヴァリアンも,登場間もない頃のシーンでは,その刃をしまうときに痛がっていたりするんですね.ハル・ベリー扮する白髪の美女ストームは,天候をコントロールできる能力を持っていて,唯一,特殊能力を使いこなしているように見えるのですが,その能力は発揮されるまでに,随分と時間がかかって,雷攻撃を仕掛ける前に,殴られてしまったり.不完全さという魅力がX-MENに登場するミュータントにはあります.

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