家路の車窓

2007/01月号

2007/01/12金曜日

 

「川にまつわる歌」

明けましておめでとうございます.本年もどうぞ,よろしくお付き合いください.新年早々から昨年の出来事を引きずった話題ですみません.どうしても書きたくて・・・,また河川のお話です.昨年は,ベトナムやマレーシアに行って,日本とは姿のまったく違う河川を見てきました.親父の話もしましたが,すっかり河川オタクになってしまったことをお話しました.どこかに行くと必ず近くの河川を見たいと思うようになってしまいました.どうしたことでしょうか.見に行かずにはいられないという感じになってます.さらに,河川にまつわる歌にも敏感に反応するようにもなってしまいました.本当に,一体,どうしたことでしょう.

川にまつわる歌としてブルース・スプリングスティーンの”The river”のことについても書きました.ということで,日本の歌で河川にまつわる歌を探してみると,結構色々あります.演歌には多いですよね.五木ひろしの“千曲川”とか,美空ひばりの“川の流れのように”は,すぐ思い浮かびます.昨日19日のNHKでは“高瀬舟”という歌を,名前の知らない演歌歌手が歌っていましたが,この歌も川を航行する船の歌でしたね.川の流れは,無常観があり,人生とダブらせて考えることができるのですね,きっと.だから川にまつわる歌があるのかもしれません.先の歌“高瀬舟”が,森鴎外の「高瀬舟」を題材にしたかどうかは分かりませんが,森鴎外の小説「高瀬舟」においても,高瀬川の流れと弟殺しの喜助の心情を重ね合わせて描いていたのかもしれないと今頃になって思いました.読んだのは高校生の頃なのですが,今さら気付いたりして・・・もう一度読み直してみようかな.

最近良く聴いているのは,長渕剛の“ガンジス”ですね.川の流れを想起させる,比較的単調なメロディーなのですが,歌詞がもの凄い.まさに人生とガンジスの流れをオーバーラップさせて歌っています.よ〜く,歌詞に聞き入ってください.人生観が変わるような歌ですね.でも,この歌のメッセージは,“命尽きるまで生きよ”ということです.今,日本で起きているいじめや自殺,このような問題で悩んでいる人たち,長渕剛の“ガンジス”を是非聴いてください.きっと勇気づけられることでしょう.

実は今年の12月に,インドのカルカッタで,所属する学会の国際会議があります.当初はあまり行く気がありませんでした.偶然でしょうか,カルカッタはインド北東部・西ベンガル州の州都で,ガンジス川の河口近くにある大都市だそうです.こりゃ〜,行かないではいられないでしょう.絶対にガンジス川をこの目で見てきたいと思います.今からとても楽しみです.長渕剛の“ガンジス”を聴きながら,ガンジス川を絶対に絶対に見てきます.

 

2007/01/12金曜日

「高校で習った世界史」

昨年,ちょっと前に高校で「世界史」や「日本史」を教えてなかったという問題がありましたね.効率的な受験対策が原因だったようです.それを受けて補習授業を行って高校卒業要件を満たそうということで,卒業式後にも補習するといったことも起きそうだとのことです.それに関連する新聞記事では「大学受験に関係ないのだから,補習は無駄だ」とか「補習時間は別な受験科目の勉強をします」という当事者である高校生の声を記載していました.

まぁ,僕も受験を控えた高校生であれば,同じ発言をしたように思います.しかし,高校生以降の時を過ごした“今の僕”は,「そんなこと言わず,せっかくのことなのだから世界史を勉強してごらんなさい.面白いよ」と,先の発言をした高校生に言いたいですね.先の発言をした高校生の言い分では,大学受験に関係する勉強以外は無駄というのであれば,大学受験が終わってしまえば,すべての勉強は大学受験と関係なくなるのだから全部無駄になるという解釈になってしまいますよね.まぁ,大学に入ってからも公務員試験や就職試験に関係ないなら勉強しないという傾向はあるのかもしれませんが.でもここに全くと言ってよいほど「面白い」という言葉が出てきませんね.「面白い」と思わないで勉強するのであれば,その意味は半減してしまいますよね.

「世界史」に話を戻しますが,僕にとっては「高校で習った世界史」がとても面白かったですね.高校1年と2年の2年間に亘って世界史を習いました.最終的に理科系の進学を希望した僕にとって,大学受験ではまったく関係のない科目でしたが,「高校で習った世界史」は,40歳を越えた今現在も面白かった授業として心に残っています.いや,面白いだけでなく生きる上で本当にタメになっていると思います.その世界史を教えてくれた先生は,「世界で起きた出来事の年号なんて覚えなくてよい.どのような社会背景から,そのような歴史的な出来事が生じたかを知って欲しい.それはきっと,みんながこれから歩む人生において何らかのヒントになる」というようなことを言われました.高校1年では,四大文明からローマ時代,オスマン・トルコ時代,ヨーロッパで起きる大航海時代,キリスト教や十字軍の話など,ヨーロッパの歴史を中心に習いました.昨年読んだ「ダビンチ・コード」も,この頃に習ったことがすごく役立ち,楽しめましたね.そして2年生になると1年間を通じて中国の歴史を習います.実はその先生は,中国史がご専門だったようで中国をとても愛していらっしゃいました.忘れられないのはアヘン戦争のくだりです.先生は授業中涙ぐみながら,アヘン戦争による中国の人達への仕打ちを話しました.「文明をこんな非道とも言うべき卑劣な形で人を傷つけるものに使ってはいけない.」とおっしゃいました.“眠れる獅子”と呼ばれ恐れられていた当時の中国を攻略するため,英国は麻薬の一種であるアヘンを中国全土に流布し,中国人を麻薬漬けにして征服したというお話しでした.先生は,極めて卑劣な行為だと批判していました.人を騙して勝つということの卑劣さを高校生の僕たちに訴えていました.

先の「文明をこんな非道とも言うべき卑劣な形で人を傷つけるものに使ってはいけない.」という思いは,工学教育を行っている今の僕にとってとても大切なことです.もう30年近くにもなるのに,そのときの授業は忘れられません.そんな世界史の授業を受けられて本当に良かったと思います.僕も,そんな授業や教えをしたいと常日頃思っています.

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