家路の車窓

2007/04月号

2007/04/04水曜日

 

「理想と現実のギャップを埋められたときの 素晴らしい“感動”」

日本では4月という時期は,多くの人が新しい道を歩み始める時期ですね.もちろん,物理的な変化が無くても,4月は,なんとなく新しい気持ちになれる時期です.良くも悪くも新しい道を歩み始めると,それまで勝手に思い描いていた理想と現実との間にギャップがあることに気付くと思います.たとえ第一希望の道を歩み始めても,“こんなはずではなかった”と必ず思います.僕も「教育がしたい」と思って,大学に飛び出してはみたものの自分が勝手に思い描いていたものと実際の教育には,ギャップがありました.そのギャップは,それはそれは大きいものでした.

人によっては,その理想と現実のギャップの小さい道を選びたいと思う人もいるでしょう.でも,良く考えてみてください.理想と現実のギャップが小さい道というのは,存外,低いレベルの理想の道ということで,そんなに魅力的な道とは思えません.自分が勝手に思い描いていた高い理想を大切にして欲しいと思います.思いっきり高い理想を目指してください.高い理想であればあるほど,現実とのギャップは,とてもとても大きくなります.その大きなギャップに必ず直面するわけですが,そんなとき諦めたり,「こんなはずではなかった」なんて思わないでください.「すごいギャップだなぁ.でも,まぁ,何とかなるだろう」という程度の気持ちで,一歩一歩進んで行ってください.10年,20年もすれば,そのギャップは小さくなっているはずです.そして,ギャップを埋めたかどうかは良く分からないのですが,なんとなく直面していたギャップと共存できるようになると,一種の“感動”を感じることが出来ると思います.直面したときのギャップが大きければ大きいほど,この“感動”は素晴らしいものになるはずです.「働き始めたときは,こんなはずではなかった.“しまった”って思ったんだよね.真剣に“やめようか”と思ったんだよね.だけど,“まぁ,なんとかなるかな”って気持ちで頑張ってやってきて,それなりになってきて,今はとても充実しているんだよねぇ」なんて若い人たちに話したことのある諸先輩方も多いことでしょう.このようなお話をしているときは,何ともいえない“充実感”と“感動”を感じているものと思います.

理想と現実のギャップを恐れてないでください.そんなことを気にするのではなく,高い理想を目指してください.そして大きなギャップに直面したら,「なんとかなるか」ぐらいの気持ちで,諦めず,慌てず,焦らず,着実に一歩一歩進んでいってください.そうすれば,素晴らしい“感動”というゴールが待っています.

 

2007/04/04水曜日

「卒業式の翌朝」

学生の皆さんの卒業式,そして謝恩会と,ものすごく盛り上がって騒いだ夜が明け,駅近くのホテルでほんの少し寝て,シャワーを浴び,東京で行われる技術委員会に遅れて出席するために向かっている車中です.通勤は下り方面,帰宅は上り方面と,多くの人とは反対方向にいつも動いている私にとって,まだ早い朝ではありますが,家路方面に向かう車窓で,これを記しています.先にも書きましたように,今,4年生,修士2年生ら,大学を旅立つ方々の卒業式と謝恩会が行われた日の翌朝です.

晴れの卒業式・謝恩会の日は,電車で通勤している私も終電を気にせず,みんなと大学時代の最後の瞬間を共有しようと,ホテルを予約して夜遅くまで楽しみます.

私たちの大学・学科では,学生の皆さんが心を込めて,私たち教員や職員に謝恩してくれます.本当に嬉しいですね.シンプルですが「嬉しい」の一言に尽きます.“教員冥利”に尽きます.謝恩会では,学生さんと一緒にポーズをとって記念撮影をします.「一緒に写真を撮ってください!」と言われると,この学生さんの思い出の1ページに「僕の写真がのるのかなぁ」と勝手に思ってしまって,なんとなく気恥ずかしくなります.しかし,ここは思いっきり記憶に残ってやろうと,ポーズを取ります.男子学生さんとのツーショットでは,腕を胸前に組んで,硬派に決めます!女子学生さんとは,それなりにさわやかポーズで・・・

謝恩会が終わると,研究室単位で2次会,そして3次会へと・・・いつお開きになるかは,そのときの気分ということになります.2次会は居酒屋で,3次会はカラオケボックスで,おもいっきり楽しみます.2次会でみんなと話し込んだ後は,お店を出て店前の通りで道行く人をつかまえてカメラを渡し,みんなで記念撮影です.そしてカラオケボックスに向かいます.カラオケでは,旅立つ学生さんの心に残ることを祈って,“卒業”をテーマにした歌を意識して選ぶのですが,元々が絶叫系の楽曲を好むのが幸いして,しんみりすることも無く,ものすごく盛り上がってしまいます.そう言えば,昨夜もまだ寒かったのですが,カラオケを歌っていた部屋はクーラー入れたっけ.カラオケも終わり,お店を出ると人通りのまったくなくなった通りで,最後の別れのときを迎えます.「みんな,頑張って!」これがいつもの別れのときに言う言葉です.「頑張って!」そして,ホテルにトボトボと向かうのです.

そして,毎年思うことなのですが,卒業式の日が明けた翌朝の太陽は,なぜかまぶしく輝いています.限りない可能性を秘めた旅立つ皆さんの将来を祝福しているのでしょう.おめでとうございます!

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