家路の車窓
2008/06月号
2008/06/02月曜日
「総長祝賀会・前半(恐縮編)」
ある日突然,僕の出身大学の総長の名前で,総長主催の祝賀会なるものの招待状が届きました.その数日後,母校が作っているらしい紅白のワインまで届きました.同封されていた手紙を読むと,先の文部科学大臣からの表彰を祝賀するものとのことでした.えっ〜,どうして知っているの??という気持ちでしたが.母校が知っていてくれたことは,OBとして嬉しくもありました.
ということで,せっかくお祝いしてくれるのならということで,早速「参ります」と返事をしました.同伴者を一名ということだったので,奥さんとも相談して,今度は,お袋さんを連れて行くことになりました.この年になって,親にもなってみて,あらためて親の気持ちも少しは分かってきたので,親孝行のつもりで「一緒に行こうよ」ということになりました.
総長主催の祝賀会当日,会場に向かう電車の中であらためて,招待状の文面をじっくり読んでみると,今年度,褒章や叙勲された方々,あらたに社長に就任された方々,国政や知事,市長に当選された方々を招待していると書かれていて,それを読んだ途端に憂鬱になりました.“なんだよ・・・お偉いさんばっかりで,ずっと黙って祝賀会が終わるのを待つしかないのかよ”と.別な意味で話し相手となるお袋さんを連れてきてよかったと思ってしまいました.
実際,会場に着いて控え室に通されると,とても風格のある方々ばかりで,本当に恐縮してしまいました.でも,祝賀に華を添える意味で,落語と三味線による演芸を見ることができると聞き,それを楽しもうと思いました.この落語と演芸はプロによるものですが,驚くことに二人とも母校のOGとのことです(実際には,三味線演芸の人は中退と言ってましたが).まぁ,我が母校は芸能界というか,業界に強い大学ですので,まぁ,いるだろうなとは思いましたが.でも,この中退の三味線演芸の人は,昨年,やはりお袋さんと奥さん,子供たちと上野鈴本演芸場に寄席を見に行ったときに出演していた人だったので,「へー,あの人も同窓の人だったんだぁ」という思いでしたね.とても恐縮していた状況での“ホッ”とするひとときでした.
2008/06/02月曜日
「総長祝賀会・後半(面白い後輩との再会でリラックス編)」
総長主催の祝賀会のお話の続きです.本当に恐縮しながらの出席で,落語と三味線演芸のひとときはあったものの,やはり肩に力が入る状況が続きましたね.列席者には,漫画家で有名な弘兼憲史氏(紫綬褒章)や重要無形文化財保持者の野村万作氏もいるのですから.少しはリラックスできた落語と三味線演芸の後は,総長との記念撮影です.ということで,順番を待って記念撮影に向かいました.記念撮影は,その後の懇親会が開催される会場の一角を使って行われていました.早々に記念撮影を終え,偉そうな方々が各テーブルに置かれているビールや水割り,オードブルを手にして歓談していました.社長に就任した方々や政治家の方々はお互いに知り合いが多いのか歓談していましたが,当然知り合いもいないと思っていた僕とお袋さんは,後ろの方のテーブルでちっちゃくなって,お寿司でも食べて,少しお腹が満ちたら,適当な時間に帰っちゃおうと思っていました.
後ろの方のテーブルで,かつ,人のまだ付いていないテーブルを探して,飲み物のグラスを置こうとしたとき,後ろから「コミネさん!」と声をかけられました.何度も言っていますが,とても偉い人たちばかりの宴席ですので,僕に声をかけるような人は出席していないはずです.ビックリして振り返ると,ニコニコした笑顔で同年代の人が,「コミネさんですよね」と.う〜ん,見覚えがない・・・.で返事が出来ないでいると「○○です.一年後輩の」.あれっ,名前,聞いたことがあるような・・・,顔も,なんか見たような・・・.もしかしたら・・・・学生時代に,一緒に本当にバカやった後輩の○○・・・・?でも,あんな奴が,総長の祝賀会に?(自分のことを棚にあげてよく言いますよね)そんなこと,あるはずない!ということで,まず口から出た言葉は,「は・・・い,コミネですけど・・・・人違いでは??」なんて言ってしまいました.そうしたら,「コミネさんでしょ.○○ですよ.△△研究所に行ったんではなかったでしたっけ?」と.△△研究所は間違いなく,僕が以前に所属した研究所の名前でした.間違いなく知り合いだった奴だ.あの一緒にバカやった,あの後輩か?当時のテレビで大人気のバラエティ番組で素人大学生が出演できる“フィーリングカップル5:5”のオーディションを一緒に受け,“大うけ”して本番に皆で出演できると思っていたら,“大うけ”の素の5番の奴だけが関東男子大学選抜に選ばれて出演した・・・あの5番の奴か?一緒に学園祭でフランクフルトを売ろうとしたら,そのフランクフルトがやけに細く,これで売れるのかと思ったら,爆発的に売れて,もの凄い売り上げをあげて,一緒に飲みまくった・・・・あの後輩か?そんなはずはない・・・ここは総長祝賀会だ!でも・・・あいつしか,頭に思い浮かばねぇーぞ??
などと考えて,やっと口から出た言葉は・・・「あの・・・フィーリングカップル5:5の5番目の○○・・・だよ・・・ねっ?」いやはや,名誉ある総長祝賀会で,まさかこのような再会があるとは,思いもしませんでした.しかし,この後輩との再会で,大変恐縮して出席していた状況が一変して,リラックスしとても楽しいひとときに変化しました.学生時代に,バカなことでも一生懸命やるもんですね.それから,一緒にバカなことをやった仲間はとても大切なものですね.
#この後輩は,皆さんご存知の有名な石油会社の研究所・研究グループリーダーになっていました.新しい触媒の開発で前年度の文部科学大臣表彰を受けて,今回の総長祝賀会に招待されたとのことです.「俺たちの学生時代を知っている人は,“いったい,どうしちゃったの????”って思うだろうね.当の本人・俺たちがビックリしちゃって,そう思っているのだから.」なんて話していました.これだから人生は楽しいって感じですね.