家路の車窓

2008/08月号

2008/08/01金曜日

 

「小学2年生がライト前ヒットをアウトに〜がんばれサイクロンズ〜」

現在,少年野球チームのヘッドコーチに就任しています.毎週土日の8:3015:00,一生懸命,練習しています.昨年は,レギュラーのほとんどが6年生で市の大会でも優勝をしました.しかし,その主力の6年生も卒業してしまい,ほとんど試合に出ていなかった選手で,今季のチームは構成されています.昨年,小学1年生になったばかりで入部した子も,今年は,小学2年生になったばかりですが,ライトのポジションを任さなければならないチーム状況です.この4月になってから,小学5年生,小学3年生,小学2年生,そして小学1年生それぞれ1名,全4名が入部してきました.まぁ,即戦力には程遠く,先の小学2年生の方が1年間とはいえ練習してきているので,この子の方がまだ,ライトを任せられるという状況です.

現チームのレギュラーの学年構成は,小学6年生が4名(うち,1名が負傷中),小学5年生が3名(内,1名は4月に入部した新人君),小学4年生が1名です.病欠や負傷者がいれば,レフトやライトには,低学年が入るしかありません.現在のチーム状況では,レフトとライトには,昨年入部した,現在,小学3年生と2年生に入ってもらわなければなりません.

皆さんもご存知のように,外野のフライを取るのは,かなり難しいですよね.練習では一生懸命やって,何度か捕球できても,実際の試合で捕球するのはなかなか難しいものです.また,内野手が捕球できなかった打球をカバーに行くということ自体,とてもレベルの高いプレーです.そもそも野球というスポーツは,チームが一丸となって如何にミスを減らせるかというスポーツです.それぞれのポジションの重要度は異なりますが,チームが一丸となって,一つの行動をしなければならないスポーツです.まだ,自分のこともなかなか出来ない低学年の子には,非常にハードルの高いスポーツですね.

しかし先日の試合で,この小学2年生が見せてくれました.一塁手と二塁手の間を抜ける強い打球がライト前に転がっていきました.早いスタートが切れる高学年の選手であれば,すばやく捕球して一塁手になげ,“ライト前ゴロ”としてアウトにできるかもしれないと思った打球です.しかし,ライトの選手は小学2年生です.いつも打球がライト方面に飛ぶと,「何とか後逸しないでくれ」と願っていましたから,このときも「慌てずに,後逸することなく捕球して,一塁でランナーを止めてくれ」と思っていました.ところが,この小学2年生がうまく捕球したと思ったら,ワンバウンドで一塁手が捕球しやすいように送球し,なんと“ライト前ゴロ”にしてしまいました.練習では,このようなプレーを教えてきましたが,実際の試合で,実際にプレーするのはとても難しいことです.しかし,この小学2年生は,やってのけたのです.この“ライト前ゴロ”でスリーアウト・チェンジとなり,ベンチに帰ってくるとき,この小学2年生は,チームメイトをはじめ,監督やコーチたち,応援している親たちの歓声で迎えられました.そのときのこの子,否,選手の顔は,とても引き締まっていて,とても男らしく,また,大人顔負けの真剣な表情をしていました.野球の面白さは,こんな一人ひとりの成長を感じさせてくれるところに,もう一つの喜びと感動があるのかもしれませんね.

 

2008/08/01金曜日

「プレッシャーに押しつぶされ悔し泣きして,そして・・・ついに一勝〜それいけサイクロンズ〜」

少年野球の恒例一大イベントの夏合宿がありました.合宿は立派な球場を借り切って一生懸命練習をして,その夜は温泉付きの宿泊施設に仲間たちと一泊します.今回は仕事の関係で,初日の練習に間に合いませんでしたが,みんなが疲れきってグラウンド整備をしているところに,なんとか駈け付けました.みんなは厳しい練習で泥だらけの上,この日は今年最高に暑い日であったようで,ちょっと体調を崩しかかった子もいたようでした.ですから,早く温泉に入れてやって休ませてあげたかったですね.グラウンド整備も終了し,早速,子供たちと荷物をまとめて温泉付き宿泊施設に向かいました.

不思議なことに,温泉に入るというと,みんな元気を取り戻してきました.また,夜,同じチームメートと一緒に食事して,一緒に寝るのが楽しみでもあったようですね.今回の食事は豪勢で,バイキングでした.この食事も大変面白いイベントで,4月に入部したばかりの3年生の子が大人顔負けの食べっぷりでみんなを驚かせていました.食事の後は,監督の発案で,子供たちに度胸をつけるため,みんなの前で一芸を披露することになっていました.みんなはドキドキしながらも,それぞれ練習してきた芸を一生懸命,披露していました.突然泣き出してしまう子もいたり,調子付いてアンコールに応えて2回も芸を披露する子もいました.こういう人前に出て何かを披露することも大切なことですよね.

そんな楽しい一夜を過ごした翌日,地域でも最強と言われている野球チーム(プロの選手も輩出しているらしい)の3軍(小3と小4で構成されているチーム)と練習試合をすることになっていました.3軍とは言え,同学年の大会で準優勝をしているチームとのことです.チーム名を聞けば,だれでも知っているチームですから,子供たちもそれなりのプレッシャーを感じてたようです.先発は,うちの長男坊主です.試合結果は戦う前から決まっていました.監督が「心臓がバクバクしてたよ」と.そうです.長男は,チーム名にビビッてプレッシャーを感じていたようです.ストライクが入らず,アウトも取れません.プレッシャーで開き直ることも出来ず,何もできずに降板しました.監督に呼ばれて,悔し泣きしていました.そんな試合でしたが終わってみれば,20点も相手チームに取られてしまいましたが,我がチームも7点を取っていました.

そして,さらに翌日,地区のリーグ戦です.このプレッシャーのある戦いを経て,子供たちは少し開き直って戦いに臨んでいるようでした.いつもより声を掛け合っていました.ピッチャーが苦しい状況になるとファーストの選手が「大丈夫だよ.思い切っていこうよ」と声をかけたり.長男がマウンドで投球しているとき,このファースト選手の励ましの声に何度か助けられたようで,3アウトを取ってベンチに戻ってくると,大きな身体のファースト選手の肩を叩いて「ありがとう!」と言っている長男の姿がありました.

ある時は,サードにゴロが行って,サードの選手が捕球後に置きにいってしまった送球をして,セーフになってしまったことに対して,ファースト選手がサードの選手に「何やってんだ!」と叱咤(激励)しました.実は,このプレーの後の攻守交替でベンチに戻ってきたとき,サードの選手が泣いていました.まわりの子はファーストの選手に「何やってんだ!」と言われたことで泣いてしまったようなことを言っていましたが,監督が「ファーストの選手だって,アウトにしたかったんだ.だから,プレッシャーで送球を置きにいったサードの選手に叱咤激励したんだ」と言いました.しかしファーストの選手は,その後何も言われなくてもサードの選手に謝っていました.サードの選手も,自分のプレーが不甲斐なくて悔しくて泣いていたそうです.そんな試合の最中に喧嘩みたいなことが起きていたりしていても,そんな真剣な気持ちがチーム全体に浸透してか,控えの選手も大きな声で声援し,暑さでボーとしてしまう選手に「しっかりしろ!」と声をかけたり,プレッシャーに押しつぶされそうな選手に「頑張れ!」と腹に力の入った声をかけていました.そんなプレーを続けていたら,念願の初勝利を挙げていました.そして,僕は監督と固い握手を交わしていました.

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