家路の車窓

2009/01月号

2009/01/05月曜日

 

「人の夢の実現の手助け」

あけましておめでとうございます.お正月ですから「夢のお話」から始めたいと思います.といいながら,いきなり,昨年のお話を少し.昨年の私たちの研究室での流行語大賞は「ランディ・パウシュ」ではなかったでしょうか.ご存知の方もいらっしゃいますね,きっと.

ランディ・パウシュ先生は,カーネギーメロン大学のコンピュータ・サイエンスの先生で,僕より1歳年上でした.若くして癌を患ってしまうのですが,その一生をかけて実現してきた“夢”をテーマに「最後の授業」を大学で行いました.その「最後の授業」はYoutubeで流されていて,世界中の人たちに感動を与えました.図書にもなっていて,僕は,映像と図書で「最後の授業」の感動を味わいました.同じ教職に身をおくものとして,とても共感を持つ数々の主張が込められています.是非,皆さんもご覧になって下さい.Youtubeで「最後の授業」とか「ランディ・パウシュ」で検索すれば,ディズニーのイマジニアに与えられるポロシャツ姿のランディの映像が見られます.

この「最後の授業」との接点は,僕のお隣の部屋の先生から「知ってる?」と聞かれて,熱く語られたことから始まりました.はじめは「新聞で読みましたね.その先生が最近なくなったとか・・・」と答えていましたが,なにげなくYoutubeで「最後の授業」を検索して,ちょっと見てみたら,息子や娘と一緒に,のめりこんでしまいました.

ランディ・パウシュ先生の「最後の授業」をテーマにすると,いろいろ書きたいことはあるのですが,今回は,その中のキーワードでもある「人の夢の実現の手助け」について,お話したいと思います.

僕の場合は,ランディ先生のように,子供の頃からの夢は実現できていません.いや,子供の頃に,そんなに熱望する夢を持っていなかったというのが本当ですね.なんとなく宇宙とか行ってみたいから,宇宙飛行士になりたいとか,憧れた洋画スター女優に会えるかもしれないと考えて,映画俳優や映画監督になりたいとか言っていました(中学時代の映画好きの友人には,本当にその夢を実現させた奴がいます.凄いよね.).現実には,近くにいた父や兄が理工系で,僕が中学生の頃に兄が入学した大学の“理工学部”を「利口学部」と本気で思っていて,“頭の良い人がいく所なんだぁ.僕も行きたいなぁ”と思って,なんとなく“理工学部”に憧れているような子供でした.

しかし,今から思えば,一つ一つ“実現可能な夢”を追い続けてきたように思います(繰り返しますが,“今から思えば”ですよ).小さい頃からの壮大すぎる夢ではありません.大学院を修了し社会に旅立った頃は,学会で活躍している研究者がたくさんいる研究所に入れたことが嬉しくて,“夢”を実現したような気持ちでいました.そして研究所入所後は,「他の人から憧れを持たれるような,学会で活躍できる研究者になりたい」という“夢”を持ちました.これらの夢を持った頃は,“とても実現できそうにもない夢”のように思っていました.しかし,それなりの評価もいただいていると実感できる現在,十分実現可能な夢であったと思います(自惚れているわけではありませんよ).しかし,その夢の実現には,多くの人たちが手助けをしてくれたと本当に実感しています.

そして今,大学の教育に従事する身として,「他の人の夢の実現を手助けできる“夢”」が,今の僕の大きな“夢”になっています.進路や就職で悩んでいる人がいれば,自分もそうだった頃を思い出しながら,その人が持つであろう“夢”の実現のために心を込めてアドバイスをしたいと思うし,就職して社会で頑張っている人には,より高いレベルで,その人が持つであろう“夢”の実現のために,僕がお手伝いできることをしたいと思います.将来の学術分野に貢献できるであろう人材であれば,その人が華々しくデビューできるチャンスを与えたいとも思っています,僕もそうしてもらったように,感謝を込めて.

 

2009/01/05月曜日

 

「はじめての海外出張の思い出」

再び,あけましておめでとうございます.早いもので,もう一年が経ってしまいました.昨年も確か,海外の話題から一年をスタートしましたが,今年も海外出張のお話からはじめたいと思います.

実は,昨年の11月末から12月の初旬にかけて,ベトナム・ハノイに出張して参りました.僕たちの大学とハノイの国家大学とが共催する国際会議への出席と,河川堤防・河川域およびハノイ市内の公園池の状況視察が目的でした.このような活動は,ここ3年続けているのですが,その際,一緒に研究活動を行っている学生の皆さんにも同行してもらっています.今回は,その中に,“はじめての海外”という学生さんがいました.この家路の車窓は本人も読んでいると思いますが,「本当に大変だったろうなぁ」と思います.自分が初めて海外出張したときも,とても大変でした.しかし,今はとっても良い思い出になっているので,彼にとっても,きっと良い思い出になると思います.

彼はとても素直で,いや素直すぎるぐらいの学生さんですので,どんな気持ちでいるのか,手にとるように分かるような気がします.緊張しているのか,気持ちが高ぶっているのか,落ち込んでいるのかが,表情から読めるような気がします.今回の海外出張では,旅立つ前のゴタゴタで緊張しているかと思えば,飛行機の中では,「とにかく飛行機に乗れた」という安堵感から,無邪気な表情で寝て,はじめての海外の地・ベトナムに入国し,日本との風景の違いに歓喜の叫びのように,「すげーすげー」と盛り上がっていました.ベトナム滞在中は,毎日がジェットコースターに乗っているような毎日だったのでしょうね,落ち込んだり,舞い上がったりで・・・.帰国後は,疲れからダウンしていました.

そんな彼の姿を見て,僕もはじめて海外に一人で出張した頃を思い出していました.本当に同じでしたね.「本当にうまく飛行機に乗れるのだろうか」という心配から始まりましたよね.レストランに入るにも,“意を決する”という感じでした.でも,あの緊張感は,今はとっても良い思い出になっていますね.

彼は出発前,同行する先輩や同級生たちに,「僕を一人にしないでくださいね.一人になったら,僕,死んじゃいますから」なんて言っていました.よく分かりますね.でも,帰国後には「本当に,行って良かったです.一生忘れない思い出です.」と言ってくれました.きっと本当に,一生の思い出になるでしょうね,僕と同じように.

素敵な素敵な風景ですよねぇ.ベトナム・ハノイの郊外です. 

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