家路の車窓

2009/03月号

2009/03/02月曜日

 

「シートノック」

息子の所属する少年野球部のヘッドコーチに就任して,覚えた用語の一つにシートノックがあります.Seat Knockと書いて和製英語らしいですね.子供たちが,試合で付くであろうポジションでノックを受ける練習です.我がチームでは,シートノック時に「ひとつ」「ふたつ」「みっつ」「よっつ」という用語も出てきます.これは,「一塁」「二塁」「三塁」「本塁」の意味で,捕球したら,どの塁に送球するかを指示するときに使います.実際の試合でも,長打を打たれたりしたら,「みっつ,みっつー!!」とベンチからでも選手に指示を出します.

先日も,翌週に控えた今年度最後の公式戦に向けて練習が行われ,練習の締めくくりとしていつものように,シートノックをしました.しかし,このときのシートノックはなんだかいつもと違っていて,ちょっと鳥肌が立ちました.

監督も力が入っていて,速いペースでノックをしていきました.左利きの息子は,ショートのポジションに入っていました.息子は,ちょっと怖がりなところがあって,監督の打つ早い打球に対して怖いという思いとしっかり捕球をしなければという思いの中で,うまく捕球できるときもあれば,怖くてしっかりした捕球体制が取れないときがありました.うまく捕球できないとき,いつも監督から注意を受けますが,このシートノックのときは,ちょっと違いました.うまく捕球できなかったとき,「あー,違う」と叫んでおり,監督も「分かっていれば良い」と言ったら,「もう一丁,お願いします!」と叫んでいました(「もう一丁」という言葉をどこで覚えてきたんでしょうね).いつもは失敗したら,そのままにして次の選手と交代してしまうのに,このときは違っていました.そんな雰囲気が,チーム全体に広がって,チームで一番野球のうまいキャッチャーの子も,ホームベース上にしっかりとキャッチャーミットを置いて,「ここに,来い!!」と叫んでいました.なんともいえない,緊張感と高揚感のあるシートノックでしたね.あの真剣な雰囲気は,学校の教室には無い雰囲気かもしれません.心が洗われるような,素晴らしいシートノックでした.

 

2009/03/02月曜日

 

「野球から学んだこと」

皆さんご存知のように,我が息子は野球部に所属しています.彼はきっと,野球から多くのことを学んだと思います.野球を通じて,野球以外のこと,社会に出てきっと役立つであろう経験と思考をしたことと思います.小学3年生から野球部に入り,もう最上級生の6年生として,最後のシーズンを終えたところです.中学に入っても,野球を続けたいと言っています.大いに続けてほしいものですね.

小学3年生のとき,ちょこっと体験して面白かったのか,野球をやりたいと言い入部しました.その後しばらくすると練習が厳しいのか,毎週毎週,練習に行きたくないと泣き叫び,無理やり連れて行かなければなりませんでした.しかし,いざ練習がはじまると楽しそうに,練習していました.一体,どうなっているのかと思っていましたね.また,4年生になって,Bチームの試合とかに出場させてもらってからは,「行きたくない」とは言わなくなりました.これも成長の証なんでしょうね.

はじめて試合に出場したとき,確か代打で出場したと記憶していますが,初打席は「デッドボール」だったと思います.打席に向かうとき,「ものすごく膝がガクガクした」と言っていました.それほど,緊張していたんですね.そんな経験は,めったに出来ないですよね.

そして,息子が最上級生になったときに,僕は野球部のヘッドコーチに就任しました.野球のルールも良く分からないのに,はじめは正直,「大変なことになった」と思いました.でも父親としての責任もあるし,本当に最初は,いやいや練習に付き合っていました.

最後の公式試合でも,印象に残る叫びがありましたね.試合で点差がひらいてしまい,選手たちが試合の最中に下を向き始めたとき,監督の後輩で髪の長いコーチが腹から声を出して「下を向くんじゃねーよ.まだ,試合は終わっちゃいねぇーんだよー」という叫びは,心に響きましたね.そう,試合は終わっていない,どんな状況でも諦めてはいけない,いやそれどころか,「誇りを捨ててはいけない」という叫びに聴こえましたね.そう,どんな状況でも誇りを捨ててはいけない.諦めず,どんな状況でも顔を前に向けて,やらなければならない.人生の生き方そのものですよね.素晴らしい経験を,野球のコーチを通じて経験させていただきました.今は,野球部のコーチを引き受けてよかったと思っています.

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