家路の車窓

2009/09月号

2009/09/07月曜日

 

「那須岳登山」

毎年恒例ですが,夏には家族で那須に避暑に行きます.今年は,避暑という感じではないくらい,涼しい夏でしたが,今年も那須に遊びに行ってきました.那須には妻の会社の保養所があって,毎年,そちらに泊まらせてもらっています.ここがまた,おいしい料理をたくさんいただいて,これも楽しみの一つになっています.女性陣は,近くにできたアウトレットにショッピングに行くのも楽しみにしております.そして,もう一つ那須で行うことは「那須岳登山」です.ロープウェイに乗って登山口まで連れて行ってもらい,そこから頂上までおよそ1時間の登山です.登山口付近は,ガレ場のような,礫で表層が覆われているところを登っていきます.礫がすべるので,少し歩きにくいですが,頑張って歩いていくと,今度は岩場になります.岩場は,一歩の歩幅を大きくしないと,大きな岩を乗り越えることができないので,小さな子供には,難所となります.大人にとっても,硬い岩は,足に疲労を与えます.しかし,礫表層が覆われている箇所から岩場へと変化する登山道を楽しめるという考え方もできます.

今年は,はじめて娘が「那須岳登山」に挑戦しました.息子は既に,昨年登頂に成功しているので,余裕で・・・というか,一番先頭でどんどん登っていきました.娘はどうかなぁ,と思っていましたが,思いの他,弱音を吐くことも無く,楽しそうに登山していました.途中で短い棒を見つけ,「レイ棒(娘の名前から由来)」と名づけて,杖代わりに使っていました.

1時間ほどの登山を楽しむと,頂上ではレモンとお煎餅を食べて,頂上からの風景を楽しみました.この風景を見ると,また来年も登ろうと思えるんですよね.

説明: IMG_1735

那須岳全景

 

2009/09/07月曜日

 

「完璧な安全保障と理科系科目離れの関係に関する一考察」

留学生と話していて思ったことです.発展途上国と呼ばれる国からの留学生との会話や実際にそれらの国々を訪問して思うことは,一貫して,理科系の科目に一生懸命取り組んでいるという印象です.もちろん,文科系の科目もとても大切とされ,一生懸命取り組んでいますが,理科系の科目が好きだという学生さんが多いという印象です.

一方,我が国・日本では理科系離れが深刻であると言われています.数学や物理,化学をツールとして,土木工学分野で活動している僕にとって,こんなにも人が生活していく上で重要な理系学問に,なぜ若者が魅力を感じないのかと不思議でなりませんでした.

先の留学生は,「日本は,とても良い国ですね.何も考えずに,水を飲んでも絶対に安全ですから.私の国では,水を飲む前に,“これは安全な水かどうか”を考えなければなりません.ですから,化学など理系の知識がとても重要なのです」と話しました.ここで僕は「はっ!」としました.そうです.日本はほぼ完璧な安全を保障された国ですね.ほとんど危険を感じることなく生活が出来ますね.水道から出る水やコンビニで買う水でも,「危険性がある」とはほとんど考えずに飲んでいますよね.食べ物も全く同様ですね.でも,この安全を保障するために,とても多くの人が最大限の努力をして,水際で危険を食い止めているはずです.しかし,ほとんどの人は,それを全く知らず,また確かめもせず“安全なはずである”と思って生活しているのです.

このように考えると,理科系離れは,将来における安全保障の崩壊になるかもしれませんね.特に今までの生活や教育から,すっかり“安全であるはず,安全は当たり前”と思い込んでいる世代のときに,安全保障が崩壊したらと思うと背筋が寒くなります.事実,冷凍餃子の事件や飲用水の問題が報道されたりしています.「完璧な安全保障」を実現させようと思うと,その恩恵を最大限受けている人たちが「完璧な安全保障」を当たり前と考えてしまい,それを維持するための知識や学問を軽視してしまう.その結果,「完璧な安全保障」は崩壊する,しかも「安全なはずである」と思ったまま,安全保障は崩壊することになるかもしれません.これはとても恐ろしいことですね.

教育の現場にいて,良い点を取ることが美徳とされ,試験の点数で人より勝ることが勝利という風潮の中で,「安全保障を維持するために必要不可欠な学問,人類が生きるための学問」ということを,繰り返し,諦めることなく,伝えていかなければと思います.

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