家路の車窓

2009/12月号

2009/12/01火曜日

 

「エジプトの歴史にほんの少し触れて」

先のエジプト出張で,ほんの少しですが,エジプトの歴史にも触れることができました.5000年にもわたるエジプトの歴史には,驚嘆しかありませんでした.また,いかに映画の題材にエジプトが関係しているかを実感しました.

分かりやすいところでは,モーゼの“十戒”やハムナプトラですかね.カイロの博物館で観たファラオのミイラを見学して,ラムセス2世とか名前が書いてあると,“十戒”でユル・ブリンナーがやった役かな?とか,ラムセス2世の横にあるミイラからは塩の成分が検出されているらしく,色が他のミイラと比べて赤く(他のミイラはすべて,黒くなっていました),新しいミイラ作製技術なのかなと思ったり・・・.今回のエジプト出張では,国際会議への出席のほか,アスワンハイダムとナイル川沿岸の地盤調査もあったので,エジプト人のガイドさんの同行がありました.このガイドさんはとても良い方で,大学院ではエジプトの歴史を専攻したとのことで,いろいろお話ししていただきました.このガイドさんの“十戒”と先の赤く塩分が検出されているファラオのミイラのお話を聞いて,学術的興味で心が震えました.実は,映画の“十戒”は脚色されていて(ハリウッド映画ですから当然ですかね),本当は,ラムセス2世の横にあった塩の成分が検出されたファラオこそ,モーゼと対峙したファラオとのことで,モーゼが杖で紅海を叩き,割れた海が元に戻る際に巻き込まれたファラオとのことでした.だから,身体全身から塩の成分が検出されて,かつ,ミイラの色も他もものと異なっているとのことでした.とすると,モーゼって,本当に紅海を割ったのでしょうか??なんだか,とってもワクワクして,ロマンを感じて,ガイドさんの話に聞き入ってしまいました.実は,このお話しをガイドさんに伺っていたのは,飛行機が2時間ほど遅れて,待っている間に聴いた話しなのですが,このときは,飛行機が遅れてよかったと思いましたね.

それから,“ハムナプトラ”では,黒い虫が砂の中からたくさん出てきて,ファラオのお墓をあばく人を襲うシーンがあります.ハムナプトラを観た方は,気持ち悪いと思った方も多いと思いますが,あの黒い虫は「糞ころがし」なんですね.エジプトでは,スカラベといって,お墓の守り神で,大切な虫とのことでした.お守りにするぐらい大切な虫として扱われていました.ハムナプトラのイメージとは,正反対でしたね.

今回のタイトルには,「・・・ほんの少し触れて」と書きましたが,本当に,ほんの少しという感じです.エジプトは奥の深い国のようです.少し興味を持って勉強してみようかなと思います.

エジプトの遺産の数々.しかし,帰国後1ヶ月以上も経っちゃうと,もう,名前を覚えていないという現実・・・.人がたくさん写っている写真の真ん中の石像は,「スカラベ」です.みんな,ありがたがって,スカラベの周りを7回廻るらしいです.

 

2009/12/01火曜日

 

「未来への投資は,いずこへ」

エジプトのお話しが続きました.これは過去というか長い歴史を,僕たちが“今”の時点から見て,当時のエジプトの人たちが意識もしないで“未来への先行投資”をした結果に驚愕しているものと思います.5000年も続く歴史の中で,僕たちが享受している文明の原点が間違いなく存在しているし,当時のエジプトの人たちは,人的にも金銭的にも,先行投資をしてきたように思います.あのピラミッドなどは,“今”の時代から見れば,まったくの“赤字経営”そのものだろうし,“箱物”と揶揄されてしまうものでしょう.当時のエジプトでは,あのピラミッドを“無用の長物”とか“無駄”という人は,いなかったのでしょうか.

今の経済不況,世相から考えれば,“無駄”は省かれるべきでしょう.しかし,この“無駄”というものは,極めて不明確なもののように感じます.“無駄”と判断するのは極めて難しいのではないでしょうか.“役に立たない”ことが“無駄”というのでしょうか.例えば,高度な耐震設計も,地震がこなければ,“役に立たない”ということでしょうか.僕の専門の土木工学分野でも価格競争ですべてが決まるようになって,工事総額が低下し「今まで公共工事には無駄が多かった」といわれる一方で,工事の最中の事故が増加していることは何を意味しているのでしょうか.安全を切り売りしていると感じるのは,僕だけでしょうか.教育に関する資金も,すぐに収益がでなければ“無駄”なのでしょうか.日本は,いつの頃から,「未来への投資」を軽視するようになったのでしょうか.僕は,本当に,日本の未来が不安です.僕の子供たちに,素晴らしい日本を残すことができるのでしょうか.

ギザのクフ王のピラミッド,やっぱり,このように撮ってしまいますよね.大ピラミッドを,“ツンツン”している気分です.

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