家路の車窓

2010/02月号

2010/02/01月曜日

 

「さよならWendys

ご存知の方もいらっしゃるでしょうか.20091231日をもって,ハンバーガーショップ・ウェンディーズが閉店してしまいました.マクドナルドやモスバーガー,最近ですと,バーガーキングなどの陰に隠れてしまって,あまり知られていないハンバーガー屋さんでした.そんなウェンディーズが閉店すると知ったのは,20091230日の夜,うちの奥さんがインターネットでホームページを見ていたのを,横からのぞいたときでした.「そうかぁ.ウェンディーズが閉店かぁ.“ひっそり”と閉店していくのだろうなぁ・・・」と思っていました.

自宅の近くでは,国道6号線沿い,ひたちのうしく駅付近に出店していることは知っていました.家族で,つくばに遊びに行くときなど,横目で通り過ぎていましたから.つくばに出かけるとき,家族で昼食をとろうという話になっても,「ウェンディーズで食べよう」という話は一度もしなかったですね.子供たちも,「マックがいい.てりやきバーガーとポテトね!」という感じでした.我が子供たちは,ウェンディーズそのものを認識していなかったと思います.

僕が初めて,ウェンディーズでハンバーガーと“チリ”を食したのは,中学生のときだったように思います.映画に興味を持ちはじめた35年ほども前のことです.池袋の映画館に行った帰りに,当時,出店間もないウェンディーズ池袋店に立ち寄ったのが初めてです.当時は,注文をするカウンターにはマイクが付いていて,お客さんのオーダーを店の奥の調理場にいるスタッフに伝えるシステムでした.ピクルスやトマトをトッピングできる初のオーダーシステムでもあったようにも思います.トマトやピクルスを付けると“○△※〜Burger and Tomato with ピクルス〜”みたいな,ちょっとアメリカっぽい雰囲気にひたれる注文風景が見られました.

さらに素晴らしいのは“チリ”が食べられることでした.35年前の映画好き中学生は,当時NHKで放映されていた「刑事コロンボ」のファンでした.刑事コロンボといえば,ヨレヨレのレインコートとボロボロの自家用車と怖いカミさんで有名でしたが,もう一つ,面白い特徴がありました.それは,刑事コロンボがレストランで注文する料理といえば,必ず“チリ”であることでした.中学生であった僕は,「このチリとはどんな食べ物なのか?一度でいいから,食べてみたい」と思っていました.ドラマでも,特に詳しく“チリ”を映すわけではないので,妄想は膨らむばかり・・・きっとおいしいに違いないと.中学生の僕にとって,“チリ”は異国の料理の代表格でした.そんな“チリ”が食べられるハンバーガー屋さんでしたから,行かない訳にはいきませんでした.そして,はじめての“チリ”を目の前に,これで刑事コロンボになれるという妄想までも抱きながら,食したチリの味は,「うん,うまい!」という程度でしたが,と〜っても嬉しかったですね.“チリ”を注文すると,必ず,味付けを辛くできるチリソースが付いてくるのですが,それを全部入れて,メキシコ人の気持ちになってみたり.

そして,Wendys閉店の日に,奥さんと娘を連れて(息子は,野球部の先輩とバッティングセンターに行ってまして・・・),30年ぶりのウェンディーズの味を楽しみました.もちろん,注文したのはオーソドックスのハンバーガー(昔からトマトが入っていて,これがマックとの違いでしたね)とあの“チリ”です.“チリ”の味は変わっていませんでした.Wendysの閉店は,懐かしい味を堪能できたという思いとともに,僕の青春の1ページを失った感じがします.なんとかまた,復活してもらいたいなぁ.

 

左:ウェンディーズのold fashionな看板.中:僕が中学生の頃から変わらなかったキャラクター,右:ウェンディーズ最後の日に,2時間近く行列で待って,ついにありつけたセットメニュー.

 

左:大好きで憧れの“チリ”.刑事コロンボは,こんな料理が好きなんだぁ,というのが,はじめて食べたときの感想.その右は,久しぶりに“チリ”を味わう人.さらに辛くするチリソースも全く変わらず,ウェンディーズのキャラクターつき金色の包装に入って付いてきました.チリソースは記念に持って帰りました.

 

2010/02/01月曜日

 

「人材と人手」

ある日の朝刊で,この不景気の中,ある業界では未だに「人材が足りない」という記事が出ていました.このときの人材は,本当に「人材」なのでしょうか.広辞苑第6版によれば,人材とは“才知ある人物.役に立つ人物.”と書いてあります.一方,人手は“他人の手.他人のたすけ.働く人.働き手.”とあります.人材と人手は全く違う意味ですよね.新聞に書いてある業界は,かなりの人数を採用する業界のようですが,本当に「人材」が欲しいと思っているのでしょうか.「人手」が欲しくて,たくさんの人数を採用しているのではないでしょうか.「人材」が欲しい企業は,それほどたくさんの人数を採用しないのではないでしょうか.なぜなら,おおよその場合,雇った直後の人はまだ「人手」であって,それを「人材」までに成長されるには,時間と投資が必要になるからです.たくさんの人を雇ってしまっては.「人手」を「人材」に成長させる時間と投資が希釈されてしまい,「人材」への成長が見込めないからです.どうも,「人材」と「人手」を区別していない業界もあるようですね.僕は大学教員として「人材」を育成することが使命ですので,この点の認識をしっかりしておき,また学生の皆さんたちにも,このメッセージを伝えるべきですね.

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