家路の車窓
2010/06月号
2010/06/01火曜日
「グロイもののお薦め」
@先日,僕の研究室の学生さんとお話していて思ったこと,A韓国・ソウルでご一緒した日本人の国際会議参加者の皆さんと懇談した際の会話,Bここのところ流行っている「太宰治」,そして,C先日読み終えた村上春樹著「アンダーグランド」(古本屋にて105円で購入)により得た思考,これら四つのことを連結し考察して思い浮かんだ言葉が,この「家路の車窓」のタイトルです.
@,Aでの話題は,スティーブン・キングの作品,もしくはスティーブン・キングの原作を基にした映画の話題でした.ときどき「ショーシャンクの空に」が“とても好き”,“感動した”というお話を聞きます.僕も好きな映画の一つですが,あえて,僕のランキングには入れていません.とても感動する美しい映画ですね.もちろん,映画は心地よいものであって欲しいと思うし.ところで,この「ショーシャンクの空に」の原作は,スティーブン・キングの著です.ご存知の人も多いと思いますが,スティーブン・キングはアメリカを代表するホラー作家と“称されて”います.僕はホラー作家とは思ってませんが.人を怖がらせることしか考えていない陳腐な作品を乱発するホラー作家が多数存在する現在,スティーブン・キングを,それらと同じ範疇に分類しては失礼であると思っています.スティーブン・キングは,人の美しい側面とともに,俗っぽいというか,汚れたところというか,悲しい物語というか,そんな人の負の部分も表現できる稀代の作家であると思います.このような人の負の部分を,今では“グロイ”と称しているようなので,あえて,タイトルに使ってみました.先の「ショーシャンクの空に」の原作(刑務所のリタ・ヘイワース)を読んでみてください.映画とは違う印象を持つことでしょう.人はもっと深いのです.彼の他の作品も読んでみると良く分かりますね.彼は「シャイニング」の原作者ですが,これを映画化したスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」が全く気に入らず,自分で作り直したこともありました.そう,スティーブン・キングの作品は,映像化するとき,映画監督の読み込みが足りないと,まったく異なる作品になってしまう傾向がありますね.スティーブン・キングが映像化した,しかも原作者が彼ではないという面白い作品「スティーブン・キングのキングダム・ホスピタル」は,好きというか,彼らしい映画であると思うのでお薦めです.
さて,なぜBかというと,このような人の負の部分を描く作家は,日本にもいたわけです.そう,太宰治です.僕は高校生のときに,はまりましたね.しかし,「人間失格」のあまりの負のオーラに怖気づいてしまいました.それ以来,読んでいませんが.でも,家族を持ち,そこそこの経験を積んできた今,彼の考えも分からないわけではありません.今の若い人には,いやだと思っても,目をそらさず,少しでいいので係ってほしいですね.
そしてCですが,これは,15年ほど前に社会を震撼させた地下鉄サリン事件を取り上げた本です.作者は,1Q84で今話題の村上春樹です.たまたま,入った古本屋で105円で売っていたことと,丁度,3月に入った時期であったこと(地下鉄サリン事件が起きたのは3月20日です)もあって,思わず購入していました.地下鉄サリン事件を起こした教団には,僕と同じ大学で同じ学年の人がいたり,僕の大学の後輩に当たる人が,事件を起こしていたり・・・複雑な気持ちです.そう,グロイというか,人のもっとも厭な,悲しい何かが,自分の近くをすり抜けていくような気持ちです.人生は,そんなに美しいだけのものではないという現実感を持ちます.この本は,地下鉄サリン事件の被害を受けた方々のインタビューを記録したものになっていて,そこには悲痛な叫びというか,何ともいえない負の気持ちが込められた文章が綴られています.いや負の気持ちだけではなく,それでも前を向く人間の強さとか,いやしかし納得できない怒りとか,あぁ,あぁ,なんて言っていいんだろう・・・.
何が言いたいかというと,美しく見える部分にのみ注目して,グロイ部分を見ないというのは,結局は人生の本質を知ることはできないのではないかということです.誰でも辛い経験はしたくないですが,避けられないときもあれば,運よく避けられるときもある.辛い経験を運よく避けられたとしても,“辛い経験”にも目を向けるべきということでしょうか.こんなことを書いたのも,年齢を重ねたからでしょうか.
今回の話題とあんまり関係ありませんが,Aの韓国・ソウルでの懇談の際の料理です.左がプルコギ,右は辛いキムチ鍋です.あれっ,辛い(からい)と辛い(つらい)は,同じ漢字なんですね.結構,関係がありました.
2010/06/01火曜日
「カレーライスのトッピングは??」
実はカレーライスが大好物です.家庭のカレーライスも,カレーハウスで食べられる本格的なカレーライスも,どちらも大好きです.子供の頃から良く食べていましたし,独身時代に研究所の寮で過ごしたときも,週に一度はカレーライスにして欲しいという要望を出して,そのようにしてもらいました.それぐらいカレーライスが好きです.
ところで皆さん,カレーライスに何かトッピングをしませんか?子供の頃,家庭では,何もトッピングしないで,そのままカレーライスを食べていました.ところが,高校3年生の頃でしょうか,夏期講習のため予備校に通ったときに,予備校近くにあるカレーハウスで,カレーライスの上に生卵をのせて食べる会社員をはじめてみました.とてもビックリして,それでもしばらくは,同じような食べ方はできませんでした.しかし,その後も,同じように生卵をトッピングして食べる人を何人も見て,食べてみようと思い,ついに挑戦するときが来ました.食べてみると・・・・・.すごくおいしい!!
ということで,それ以後は,生卵をのせてカレーライスを食べることが多くなりました.最近はコレステロールを気にして食べませんが.
話はまだ続きます.カミさんと結婚して,カレーライスにソースをかけて食べるのを見て,これまたビックリ.いろんな食べ方があるもんですね.