家路の車窓

2010/07月号

2010/07/02金曜日

 

「成長って,どんなことなのかなぁ.“丸くなる”って,いったい??」

本当はこの話題では,家路の車窓を書かないつもりでいました.大切な僕の思い出ですので.しかしときどき,そのセレモニーの際に流されたスライドショーを観ていると,やっぱり書こうかなという気持ちになってきました.

実は,この3月に約10年間一緒にお仕事をさせていただいた先生が定年退職されました.その先生にも,この家路の車窓を読んでいただいているので,先生への思いは書きません.その先生の定年退職の際に,いろいろなイベントが,現在の我が地盤研に所属している学生諸君によって企画され行われました.列席した皆様からは,彼らの素晴らしいパフォーマンスに対して,多くの感嘆の言葉をいただきました.主催側のリーダーであった僕ですら,何を企画しているのか,まったく知らされず,当日の退職セレモニーでは,感動のイベントの連続で,涙を流させてもらいました.そのセレモニーは,当の先生を,退職に際してお祝いと共にお送りするという趣旨だけではなかったように思います.10年間ですが,僕自身も,自分の置かれてきた環境と思い出を想起させられて,自分自身の幸福を実感させられたようなセレモニーでした.

先にお話したセレモニーの際に流されたスライドショーは,博士後期課程に在籍している学生さんが,実験や論文執筆の合間に,Windowsにデフォルトで付属しているソフトで作成したものでした.我が地盤研では,教員も所属学生も共有して使うハードディスクがあり,皆で撮った写真をどんどん,そのハードディスクに保存していきます.そこには,10年近い思い出が詰まっています.現在,地盤研に所属している学生さんがランドセルを背負っている頃からの写真です.正直に言って,皆,若い.先のスライドショーは,この思い出の写真からランダムにピックアップされた写真で構成されています.当時のことを知らない学生さんが並べた写真のスライドショーですが,とても良くできたものです(当の作成者本人も,これを読んでいるので,これ以上,褒めませんが).

ところで,このスライドショーをじっくり観てみると,あることに気づきました.お祝いにかけつけていただきました来賓の方々には,我々の分野の第一人者の方も多数いらっしゃっていました.このスライドショーには,セレモニー当日の写真も使われていました(セレモニーが進行しつつ,その際の写真がほぼリアルタイムに,当日上映のスライドショーにアップされていたんですね.凄い!おっと,これ以上,褒めない,褒めない.).僕の尊敬する先輩の方々の写真に写っている顔を見ると,皆,やさしい目をしているんですね.しかし,ただやさしい目ではないのです.厳しい経験をしてきた人だからこそできる,温かみのある眼差しです.今の僕には,まだできないなぁ〜.

自然現象を理解しようとする研究をしていると,その現象を見極めようとする気持ちからか,何かを狙っているような目つきになってしまいます.僕は,意識的にそんな目つきをしていると自覚するときもあります.野球でバッターボックスに入ったときなども,ボールを見逃すまいという気持ちでにらみつけますよね.僕は,そんなときの目をいつもしているよう思います.本当に若い頃は,いつも,そんな目つきでいたからでしょうか,「鬼の・・」と呼ばれていたことも,何回かお話しました.先日も,僕の若い頃,かけだしの研究者であった頃を知る人,数名と再会することがありましたが,「当時は,笑った顔を見たことがない」とか言われて,「今は,随分と雰囲気が変わりましたね」とか「丸くなったんじゃないですか」とか言われてしまう始末です.笑ったことがないなんて,そんな・・・って感じですが.研究者として活動した初期の頃は,そんな雰囲気を出していたのかもしれませんね.

でも実際,未だ最前線の研究者ですから,「丸くなりましたね」と言われると,まったく喜べません.研究とはそんなに甘いものではないという思いがあり,現在,一緒に研究している学生諸君には,「鬼の・・」という片鱗を感じている人も多いと思います.ここしばらくは,このままでいきますよ(やはり,この家路の車窓を読んでいる人もいるでしょうから).

こんな感じでやっていけば,いつか,先のスライドショーの中に見る温かくぬくもりのある眼差しができるようになるのでしょうかね.

   

左の写真:早大4年生(卒業アルバムより)の頃,かっこつけて笑わない・・・,その隣の写真:1999年ポルトガル・リスボンの国際会議にて.確かに笑ってない・・・,その隣の写真:地盤研20周年同窓会にて,おー,笑っている,笑っている.そして右の写真:遺伝子は受け継がれているのか?

 

2010/07/02金曜日

 

「運転する派?してもらう派?」

皆さんの中には,自動車の運転が好きな人が多いと思います.僕も,免許取得直後や自分の自動車をはじめて買ったとき等は,運転がとても楽しいと思いました.自分のお給料で購入したはじめての自動車は,ホンダの白いシビックで,結構,あっちこっち行きました.

でも,今は,乗せてもらってどこかに連れて行ってもらう方が良いですね.なんだか分かりませんが,運転しているとなぜか眠くなってきてしまいます.電車の中では,不思議と眠くならないのですが・・・.

それから自動車の名前もほとんど知りません.うちのカミさんや長男は自動車が好きらしく,「あんた,あんな有名な車の名前も知らないの」と言われてしまう始末です.僕の兄は,子供の頃から自動車が大好きで,そのまま機械工学を学んでホンダの研究所に勤務していますが,そんな兄貴の横で一緒に自動車の名前を一生懸命覚えた記憶もあるのですが,まったく身に付いていません.兄貴が自動車に詳しかったので,その裏返しになってしまったのかもしれませんね.

今に至っては,自動車は走ればよい,という気持ちに到達してしまいました.

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