家路の車窓
2009/02月号
2009/02/02月曜日
「黒部の太陽」
タイトルの映画,学生時代から念願であった「黒部の太陽」をはじめて鑑賞することができました.ご存知の方も多いと思いますが,この映画はビデオやDVDになっていません.当時の二大スターである三船敏郎と石原裕次郎がダブル主演している映画にもかかわらず.なんでも石原裕次郎の遺言で,「“黒部の太陽”は,大きな会場で大きなスクリーンで上映してほしい.そうでなければ,その迫力は鑑賞者に伝わらない」ということだそうです.僕が大学生の頃は,青函トンネルの建設中であり,また,本州四国連絡橋の計画と一部建設という状況で,ビッグプロジェクトが進行中でしたので,学科の内容もよく分からず,なんとなく土木工学科に進学した僕でも“土木の誇り”のようなものを感じることができました.そんな中で,大学の先生や先輩,アルバイト先のコンサルタントの方々から,幻の映画「黒部の太陽」があると教えてもらい,当時ただ単なる映画好きの僕は観てみたいと,ずっと思っていました.実際,コンサルタントのアルバイトでは,その黒部の地にも行かせてもらい,一生忘れられない思い出ができていたので(2002年5月家路の車窓参照),観たくて観たくてたまらない気持ちでいました.そしてついに,ついに今回,鑑賞することができました.土木学会主催で土木学会会員限定にもかかわらず,平日の昼から1300人もの人が鑑賞しに来ていました.そんなもの凄い映画なのですね.
会場には,知り合いも多く,また,大学卒業以来の同級生とも再会したり.皆,「土木の誇り」を再確認したかったのかもしれません.少なくとも,僕はそうでしたね.
感想は一言,「素晴らしい.ただ,ただ,素晴らしい」.念願の映画でしたので「黒部の太陽」がタイトルでスクリーンに映し出されただけで,目がウルウルしていました.この映画を鑑賞し終えて,僕の心に刻まれた言葉があります.「覚悟」と「責任」です.三船敏郎が演じた電力会社の土木技術者も,石原裕次郎が演じる建設会社の下請けのトンネル建設専門の会社の若きリーダーも,黒部第4ダムの建設を担当することを激しく躊躇します.三船敏郎演じる電力土木技術者は,会社の社長から担当の所長を任命される日に「辞退させてください.任が重過ぎます.」と言います.しかし,社長の日本を憂う言葉,社会の期待と使命を聞きながら「責任」を感じ「覚悟」を決めていくのです.石原裕次郎演じるトンネル建設会社のリーダーは,フォッサマグナ・破砕帯がある場所でのトンネル建設を,会社の社長である父親が安請け合いしてきたことに腹を立て,三船演じる電力土木マンに「親父は何も分かっちゃいない.やめさせてくれ.絶対に無理だ」と直談判します.しかし,プロジェクトは進んでしまい,石原演じるリーダーは当初,傍観しているのですが,徐々に変わっていき,陣頭指揮を取るようになります.その心の変化を恋人から問われて,「オレは“覚悟”を決めたんだ」と言います.
野球などスポーツでも,この一打席,一場面で勝敗が決まるというときがありますよね.それと同じと思います.そのときにはきっと,その場を逃げ出したい気持ちがでると思います.オリンピック選手など最高のレベルにある人もきっとそうだと思います.しかし,一流になればなるほど,「逃げ出したい」という気持ちよりも「俺,私がやらなければ誰がやるんだ」という強い気持ちが勝るのでしょうね.そう「責任」が生まれるのだと思います.先の二名の土木技術者も「責任」を感じ「覚悟」を決めてプロジェクトに身を投じるのです.“好きだ”とか“楽しい”とか“やりがいがある”というような生半可なものではない「責任」が生まれるのでしょう.そして「覚悟」を決めてプロジェクトに立ち向かったのでしょうね.そして,プロジェクトの成功を体験してはじめて,“やりがい”を感じ,そんな人生が“楽しく”,一緒に戦った仲間たちとのふれあいが“好き”になるのではないでしょうか.
「黒部の太陽」は,近いうちに,テレビドラマとしてリメイクされるようですので,皆さん,ぜひ観ましょう.
2009/02/02月曜日
「東京雑感」
「家路の車窓」とか言いながら,実は,思いついたときにいろいろ書いています.まぁ,帰宅時の電車の中で書くことが多いので,HPタイトルとしては問題ないと思っています.
実は,この家路の車窓は,午前9時45分に東京はJR浜松町駅近くのマクドナルドで,120円のローストコーヒーを飲みながら書いています.アーケードのような場所にあるマクドナルドの窓側に座って,道行く人を見ると,「あ〜ぁ,オレもすっかり田舎者になったのかなぁ」と思ってしまいます.せわしなく食事をして席を立つ人たちの中で,のんびりとコーヒーを飲みながら,キーボードをたたいているなんてね.別にシティボーイを気取っているわけではないけれど,東京に生まれ育っているときは,こんなにのんびりしていなかったのかもしれません.
僕と一緒に茨城でのんびり育ってきた学生諸君は,就職して,この東京のスピードに順応しているのでしょうね.地方から上京した人の立場から観た東京の情景と故郷への愛慕をテーマにする歌謡曲(浜田省吾の“東京”とかね)の意味が分かってきました.きっと人格も含めて変わっていくのでしょうね.
おっと,午前10時にある建設会社の方と面会する予定です.今回はこれぐらいにして.皆さんには,東京の風景を目に浮かべてもらえればと思います.
昨年,ご招待いただきました副都心線の試乗会です.